人生100年時代の恩恵は受けられるか!? LIFE SHIFT ⑧
どーもまつまつです!!!
今日の本の紹介は
リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット氏の
LIFE SHIFT 第8弾です!!!
この本はAmazonの2017年のビジネス書大賞も受賞しており、世界的にも数多く読まれている本です。
まつまつも遅ればせながらこの本を手にして読んでみたのですが・・・
序章から衝撃的な内容が!!!
「人生100年時代」がいずれ来ることは薄々感じていたことなのですが、その影響が仕事や今後の貯蓄にも影響してくるとは!!!
長生きをすることは良い面も悪い面もあり、それに早くに気づき、行動を起こして行けることはこれからの人生を本当に左右することだなと思いました!
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目次
本の構成
この本の構成は以下の通りになっています。
序章 100年ライフ 第1章 長い生涯 第2章 過去の資金計画
第3章 雇用の未来 第4章 見えない資産
第5章 新しいシナリオ 第6章 新しいステージ
第7章 新しいお金の考え方 第8章 新しい時間の使い方
第9章 未来の人間関係 終章 変革への課題
この本を読んでいて気づくこと・まとめたいことが多すぎるので、いくつかの章に分けてこの本の紹介をさせてもらおうと思います。
今回の記事で最後になります!!!
終章変革への課題
これからの自分たちに選択できる人生、シナリオ、ステージは様々な局面でこれから変わるべきことも多いです。個人や家庭が変わるべき点、企業とそのキャリア環境が変わるべき点、教育機関が変わるべき点、政府の政策が変わるべき点などです。
ここで重要なのは、後で変化を突きつけられるのではなく、今変化を予測して行動することです。積極的に行動しなければ、これからの長寿化は厄災の種になりかねないからです。
アイデンティティを保つ
従来の3ステージの人生では、一本の線のように連結性と継続性のあるアイデンティティを保つことは比較的容易でしたが、これからの長寿化で、100年以上にわたりアイデンティティを維持し、人生の様々なステージに一貫性をもたせることは簡単ではありません。
これからは、新しいロールモデルがたくさん出現し、一斉行進型モデルが弱まる結果、人々が否応なく自分の人生を自ら選びとるようになっていくでしょう。その中で、人々は自分についての知識を深め、内省の能力を育んでいくのです。
計画と実験
100年以上にわたって生産的に生きる人生を設計する上では、人生の計画と実験が重要になります。しかし、私たちはおうおうにして、未来について愚かなほど楽観的であるので、計画も難しくなります。
また実験も、昔のように特定のロールモデルに従っていればいい時代ではなくなり、実験を通じて、何が自分にとってうまくいくのか、何に価値を見出すのかを知る必要があり、それは若者だけの問題ではなく、あらゆる年齢層の人にとって極めて大きな意味を持ちます。
教育機関の課題
教育機関の課題として、長い人生の中で学習と教育がいっそう重要になり、それに多くの時間を費やす人が増えます。
教育産業はどちらかというと保守的であり、長い人生を生きる人たちのニーズに答えるために様々な課題を乗り越えていかなくてはいけません。それは、新しい学習テクノロジーと経験学習を取り入れること、年齢の壁を壊すこと、創造性・独創性・優しさ・思いやりを教える方法について深く考えること、テクノロジーの進歩に対するための専門教育を急速に拡大させることが挙げられています。
企業の課題
長寿化によりライフスタイルが変われば、企業と個人の間で交渉が始まり、企業は方針を根本から見直さざるを得なくなってきます。
また、これから企業が直面していく課題では、無形の資産に目を向ける、移行を支援する、マルチステージの人生を前提にする、仕事と家庭の関係の変化を理解する、年齢を基準にするのをやめる、実験を容認・評価するなどが挙げられます。
企業としては、労働者に対して、画一性を求めます。上にあげたような柔軟な働き方を受け入れようすれば、手続きも大変ですし、マネジメントも複雑になり、コストもかかり、一部の人には非効率に思われるかもしれません。
しかし、今後最も付加価値の高い産業は、物的資本ではなく、人的資本に基礎を置いているため、高いスキルを持つ働き手の交渉力が高まってきています。この流れはさらに加速していくことになるでしょう。
政府の課題
人々の仕事の環境を作るのは企業ですが、もっと広い生活の環境を作るのは政府であり、政府がすべきことは多いです。法制度と税制度、社会保障制度、雇用制度、結婚制度、教育制度を作り変えなくてはいけません。
長寿化が政府に突きつける深刻な試練は、財政の問題だけではありません。現在の制度や政策の多くは、年齢が大きな意味をもつ3ステージの人生を前提にしています。
その危うさは、ほとんどの国の政府が、引退年齢の引き上げを試みていますが、国によって引退年齢に差があり、10歳ほどの差があるほどです。引退年齢は法律と財政政策の影響を強く受けるとされています。
そこで、ほとんどの国は今後の財政破綻を避けるために、人々に早期の引退を思いとどまらせるための政策を打ち出していますが、マルチステージの人生は、引退年齢はあまり大きな意味を持たなくなり、あらゆる年齢層において柔軟な働き方を支援することの方が重要になると言っています。
長寿化の恩恵
一方、長寿化がもたらす恩恵の一つに多世代同居家族が増えることがあります。様々な世代が混ざり合う結果、人々が自らの行動や政府の政策に対してより長期的な視野に立てるのです。
人々が将来のことを想像する時、実際に触れ合う人々(自分の子どもや孫達)までしか中々想像できないかと思います。これから、長寿化が進めば、人々は多くの世代の人と交流することになります。これから、自分の子ども、孫が生まれるとのその子達はそれから100年生きる可能性が50%以上にもなるのです。そうすると100年後も自分の子ども、孫が生きる時代になるので、100年後がそう遠くない時代に思えてもきます。
不平等な寿命
長寿化に直面する政府の問題の一つに、不平等の問題があります。長寿化が進んでいると言っても、すべての人に等しく上昇しているわけではなく、所得レベルによる寿命格差が広がっているのです。また、100年ライフに恩恵を受けられるための知識・スキル・資金・雇用主との交渉力を持っているのは所得上位25%の層であり、すべての人に等しくその資質があるわけではないのです。
それに対する政府の対応としてはやはり、公的な年金制度を維持し、お金の面で、予科を楽しめる老後を過ごすそうにしていくことが大事であると言っています。
どうして変化は遅いのか?
ここで問題なのは、長寿化の時代に社会に訪れる変化の大きさと、企業や政府が打ち出す対応の規模の小ささが大きいことです。
一つの理由として、その変化が何十年もかけて少しずつ変化してきていることにあります。「ゆでガエルの寓話」で知られるように、煮えたぎったお湯の中にカエルを放り込めば、驚いて鍋の外に飛び出しますが、鍋の中に入れて少しずつ加熱していっても、カエルはそのまま動かないのです。物事がゆっくり進行していっている時、人は思い切った行動を取りづらい、というわけなのです。
もう一つの問題は、人々の短期指向の強さにあると言っています。このような長寿化に対する措置などにかかるコストは今かかりますが、それが効果を成してくるのはずっと先になります。長寿化の問題であれば今の18〜30歳までの世代が選挙などでの投票を通じて政府を動かし、将来に恩恵をもたらすような変化を起こすことも可能です。
しかし、ここでの問題はこの世代の人口が年長世代よりも少なく、たいてい政治にあまり関わろうとしない事にあります。1964年頃のアメリカではこの世代の半分が選挙で投票をしていたのに対して、2012年の選挙では、この世代の投票率は1/3をかろうじて上回る程度なのです。
人口が少ない上に、投票率が少ない世代の声は、政治に届きにくいです。もっと人口も多く、政治にも関心のあるベビーブーム世代が、政府の関心を引退期間と高齢者医療に向けさせているのです。
変化の担い手
では、企業、政府を変えていく事に希望はないのか?私たちはこのまま、何も変わらない企業や政府のもとでますます長生きをしていくだけなのか?著者たちが思われるには変化の担い手はやはり「私たち」であると言っています。
私たちが、この長寿化をチャンスと捉え、個々が実験を行い、既存のやり方を壊し、意見を交わし、議論を戦わせる事で、企業と政府が標準化されたシンプルなモデルを好むのに対し、個人が柔軟性と選択肢を拡大させようとする。この二律背反に対して、どのように社会がバランスをとっていくかなのです。
まとめ
この章ではこれから長寿化が進み、マルチステージの人生が台頭していく中で、これから直面する個人・教育・企業・政府の課題について述べてきました。長寿化への変化は徐々にですが、確実に起こってきています。
個人は有形の資産だけでなく、無形の資産を確保し、維持していくためには今までにない実験を繰り返していく必要がありますし、教育機関はこれからの社会に必要なスキルを中心に教育する必要があり、「学ぶ」世代が今までのように若い世代だけではない事に対応していく必要があります。
企業は従来の3ステージの「仕事」という画一した部分を担うだけでなく、柔軟性や選択肢の多い、個人の働き方と戦いながら、個人の働き方に対応するっ必要がありますし、政府はまずは、将来への甘い見込みを見直し、社会の変化に対応しながら、不平等のある人への対応も行うなど、課題は山積みだと思います。
しかし、これからの社会に変化をもたらしていく担い手は、政府や企業でもない「私たち個人」です。
個人が変化していく社会の中で、実験を繰り返し、様々なロールモデルを作り、企業との交渉の中で柔軟性のある働き方を勝ち取り、政府に対しては、積極的に政治に関わっていく事で、自分たちの声を政治に反映させる努力が必要になってくると最終章を読んで思いました。